犬の問題行動で是非ともなおして欲しいのが、この「咬みグセ」です。
「甘噛みだから~」と放置していて他人を咬んでしまったり、飼い主さん自身がケガをしてしまってからでは遅いのです。
まずは咬みグセの原因を把握して、すぐにでもなおしていきましょう。
子犬の場合
一般的には物を一番咬みたがる時期だと言えます。
原因:好奇心がいっぱいだから
人間の子供と同じで、子犬も何でも口に入れたがります。
また、人の手が動いたから反応して咬む、飼い主さんの服がヒラヒラして面白そうだから咬むということもよくあります。
原因:歯がムズムズするから
生後4~6ヶ月くらいになると永久歯に生え変わる時期を迎え、だいたい7ヶ月~1歳までには永久歯がそろいます。(歯牙脱換期‐しがだっかんき‐)
歯がグラグラしたり、歯茎がむず痒かったりで目の前にあるものを噛んで解消しようとします。
成犬の場合
甘噛みする
原因:子犬の頃の癖が抜けていないから
子犬の頃に「咬んでいい物」と「咬んではいけない物」の区別がきちんと出来ていないと、成犬になってからも甘噛みの癖が抜けません。
原因:かまって欲しいから
犬の要求に応えることが習慣になってしまっているような場合、構って欲しくて甘噛みすることがあります。
甘噛みは犬の成長につれてだんだん減っていくことが多いのですが、見知らぬ人に甘噛みしてしまったら大きな問題にもなりかねません。
対策としては「人を咬んでもいいことがない」と徹底的に教えることです。
・無言で部屋を出ていく
・遊びを止めて無視をする
などの対策を取りましょう。
また、犬のしつけ全体に言えることですが、一貫性をもつこともとても重要です。
「甘噛みされたら無視をする」と決めたら毎回無視をして、家族で徹底してください。
それ以外の方法だと、「ダメ」「イケナイ」と叱り、甘噛みを止めたら他のおもちゃで遊んであげる方法もあります。
噛むこと全てを犬に止めさせてしまってはストレスになるので、咬んでいい物(オモチャ)をいろいろと与えてあげてください。
「咬んでいい物」と「ダメな物」を徹底的に教えましょう。
犬の体を触ると咬んでくる
爪切りの時、足を拭こうとした時、ブラッシングしようとして体を触った時などに咬んでくる場合があります。
原因:触られるのが不快だから
飼い主さんに触られることに慣らしましょう。
まずは愛犬が触るのを嫌がる場所をピックアップします。
特に「マズル(口元)」「耳」「足」「しっぽ」はあまり触られたくないという犬が多い場所です。
(犬が触られるのが嫌な場所)
ピックアップした嫌がる場所の近く撫で、褒めておやつをあげます。
だんだん嫌がる場所に近づけて、褒める、おやつをあげるを繰り返していきます。
慣れてきたら嫌がる場所を触る時間を少しずつ長くしていきましょう。
POINT
立ったまま覆い被さるような体勢は、犬には少し威圧的にうつります。
触るのに慣れさせる時は座って行いましょう。
原因:急に触られたことにびっくりしたから
触られ慣れていない子や神経が過敏な子は、急に触られてびっくりして反射的に咬んでしまうことがあります。
犬には悪気が全くないので決して叱らず、触られることに慣れさせたり、驚かないように「触るよ~」と声を掛けながらゆっくり触るように心掛けてあげてください。
原因:病気・ケガの可能性
病気やケガがあり、そのストレスや痛みのせいで咬んでしまう場合があります。
獣医師に相談し、早めに処置してあげてください。
物を咬んで破壊する
原因:咬んでいい物と悪い物の区別がついていないから
甘噛みの時と同じですが、「咬んでいい物」と「噛んではいけない物」の区別をはっきりつけましょう。
「ダメ」「イケナイ」などと叱り、止めたらおもちゃを与えることを徹底してください。
また、壊されたくないものには噛みグセ防止スプレーをしておきましょう。
原因:ストレスが溜まっているから
ストレスが溜まっていたり、元気があり余って破壊行動をする場合があります。
遊びや散歩など運動面のストレス発散方法や知的玩具を使ったストレス発散方法など、いろいろ組み合わせて様子を見てください。
知らない人を咬む場合
原因:対人的な恐怖があるから
過去に虐待されていたり、過度にシャイ(怖がり)な子は人に対する恐怖心から咬むという攻撃行動をとる場合があります。
咬んでしまっては大変なので、まずは見知らぬ人には触らせないようにしてください。
協力してくれる人がいるようであれば、散歩の時立ち話をする、一緒に散歩してみる、など触れることはないけれど、一緒に仲間のように行動することから始めてください。
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原因:テリトリーや飼い主さんを守りたいから
防衛意識の強い犬の中には見知らぬ人に対して過度に反応してしまう子がいます。
こちらも人に慣らすことから始めていきます。
テリトリー(家の周り)意識の強い子は、家から遠い場所で人に慣らし、だんだん家に近づけていく方が効果があるかもしれません。
また、「対人的な恐怖がある」場合も「テリトリーや飼い主さんを守りたい」場合も、「オスワリ」「フセ」「マテ」の基本トレーニングをしましょう。
トレーニングを繰り返すことによって、知らない人に向けている意識を飼い主さんに集中させる練習にもなります。
慣れてきたら知らない人がいる状況で、ちゃんと集中してトレーニングが出来るかどうか試してみてください。
食べ物や特定の物を取り上げようとすると咬む
食べ物やお気に入りのボールなど、犬が特別執着している物に飼い主さんが手を出した時に咬んでくるような場合があります。
原因:飼い主さんに取られると思っているから
交換することに慣れさせる
犬が普通にオモチャで遊んでいる時、「チョウダイ(ダシテ)」と言いながら、おやつor他のオモチャを見せます。
犬がオモチャを離したら、先程見せたおやつor他のオモチャを与えます。
離さないようだったら犬がもっと興味を示す物は何か探ってください。
日頃から「チョウダイ」を繰り返して、飼い主さんに渡すことに慣れさせましょう。
基本的なトレーニングをする
基本的な「オスワリ」「フセ」「マテ」のトレーニングを繰り返し練習することで、飼い主さんの指示に従うクセをつけます。
また、おやつを使ったり、きちんと褒めてあげることで、「飼い主さんの言うことをきくのは楽しい!」と教えてあげましょう。
威嚇して咬んでくる
このような場合も、まずは病気やケガがないか獣医師に相談してください。
原因:飼い主さんとの関係性
叱りすぎていないか確認する
叩くなどの暴力をふるっていないか、過度なしつけになっていないか確認してください。
甘やかしすぎていないか
犬の要求に応える習慣がついていないか、かまいすぎていないか確認してください。
一貫性をもったしつけをしているか
例えば日によってダメなことが変わったり、人(家族)によって許すことと許さないことが違えば当然犬は混乱し、飼い主さんを信用しづらくなります。
そういった積み重ねが咬みグセにつながる可能性もあります。
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老犬の場合
今まで咬むような子じゃなかったのに、歳をとってから咬むようになったという場合も、繰り返しになりますが、まず病気やケガがないか獣医師に相談しましょう。
攻撃的になる
原因:老化によって不安になっているから
老犬は体力の低下、視覚・聴覚の衰え、病気・体の痛みなどから不安になりがちです。
様々な場面で臆病になりやすいですが、逆に攻撃的にもなる場合があります。
「不安がある」から臆病になるし、「不安がある」ので攻撃的になってしまうのです。
この場合は咬まれないように配慮しながら、犬のストレスを軽減させてあげましょう。
マッサージなどでリラックスさせてあげたり、アロマテラピーを試してみるのもいいかもしれません。
(※犬に使ってはいけないアロマもあります。使用する際はきちんと調べ、効能を理解した上で使ってあげてください。)
獣医師に相談すれば、サプリなどを紹介してくれる場合もあります。
犬の体を触ると咬んでくる
原因:急に触られたことにびっくりしたから
視力や聴力の衰えによって、飼い主さんの存在に気が付かない状態が増えていきます。
また、老化による不安を常に抱えています。
そんな状態の時にいきなり触られびっくりして咬んでしまうということは、老犬にはありがちなことです。
・正面以外からは近づかない
・触る時には「触るよ~」と声を掛ける
・逆光でよく見えない状況を避ける
など、若い頃以上に配慮をしてあげてください。
犬との生活の上で大切なのは、飼い主さんとの信頼関係だとこのサイトでは繰り返しお伝えしています。
犬から信頼してもらうことも大切ですが、飼い主さんが犬を信頼できるようになることも同時に大切になってきます。
咬みグセがあり「いつ咬まれるかわからない!」という状態だと、飼い主さんの犬への信頼感が崩れてしまいます。
そういった状況を打開するためにも(犬を心から信じられるようになるためにも)ぜひ咬みグセをなおしていきましょう。
