「愛犬を叱っても(褒めても)あまり効果がない」という方や、
「初めて犬を飼う」という方に、犬の褒め方と叱り方のコツをまとめてみました。
日々の愛犬のしつけに役立ててくださいね!
褒め方
タイミング
良いことをしたらすぐに褒めます。
「さっきはマテが出来て偉かったね~」といっても犬には何のことだかわかりません。
例えば
その場その場で褒めてあげましょう。
声のトーン
基本的には 高い声 で 楽しい感じで 褒めてあげます。
飼い主さんが高い声で褒めると犬のテンションは上がります。
ただし、高い声やハイテンションで褒めない方が良い時もあります。
例えば
など。
これらの共通点は落ち着いて欲しい時です。
落ち着いて欲しい時に高い声やハイテンションで褒めてしまうと、犬のテンションが上がりすぎて待てなかったり興奮してしまったりします。
落ち着いて欲しいときは 普段より 少し低めの声 で 穏やかに 褒めます。
その場の状況が「落ち着いて欲しい時」かどうかで判断していきましょう。
感情
言葉だけで「イイコ」と褒めても犬には伝わりにくいです。
飼い主さんも「嬉しい!」という感情を出した方が犬も喜びます。
実際に愛犬に対して「言葉だけで褒める」のと「言葉 + 感情で褒める」のをやってみると、感情を出して褒めることの効果がわかると思います。
姿勢
立ったままでも、座って犬の近くでもOKです。
気を付けること
叱ることより褒めることを多くするように気を付けましょう。
当たり前に出来ていることなど、褒め忘れることは案外多いものです。
ちょっと意識をしただけで「ウチの子はこんなに褒めポイントがあった!」と気づくかもしれません。
イタズラばかりで叱ることが多い場合には、
「オスワリ」「フセ」などのトレーニングをしたり、目があったら褒める(アイコンタクト)などで、褒める機会を増やしてあげましょう。
叱り方
タイミング
褒める時と同じで、ダメなことをした瞬間に叱ります。
例えば、見ていない時にイタズラをした場合は黙って片付け、届かないようにするなどの対策をとるか、次に同じイタズラをした時に叱るようにしましょう。
「さっきこのイタズラをしたでしょ!」と叱っても犬には理解できません。
声のトーン
叱る時は褒める時とは反対に 低い声で 冷静に 一言で(ダメ・イケナイなど) 普段より大きめの声で叱ります。
感情
褒める時とは反対で感情をぶつけるのはNGです。
「怒る」のではなく「叱る」です。
あくまで冷静に、落ち着いて。
姿勢
立ったまま叱ります。
もし叱ってもあまり効果がない場合は立ったまま、少し前傾姿勢で叱ってみましょう。
前傾姿勢になるとより威圧的に感じます。
(実際に飼い主さんが犬のようにしゃがんで、他の人に「立ったまま叱る」と「立ったまま+前傾姿勢で叱る」をやってもらうとわかりやすいです。)
あまりに言うことを聞かない時などに試してみてください。
原因や対策を考える
例えばゴミ箱を漁るというイタズラをした時、
→ 「ダメ」「イケナイ」などと叱りダメなことだと教えてあげる。
→ 黙ってゴミ箱を片付け、無視をするか無言で部屋を出る。
→ ゴミ箱を届かない場所に移動する、イタズラ防止スプレーを使う
など、原因や対策の方法もいろいろあるので一度見直してみてください。
注意すること
暴力は絶対NG
暴力で一時的に問題行動がおさまったとしても、 飼い主さんとの信頼関係 は崩れます。
飼い主さんとの信頼関係 が崩れると別の問題行動を引き起こすことになりかねません。
例えば、犬を叩いて叱っていると「人間の手」=「怖いもの」という意識がついてしまい、人が手を近づけただけで犬は自分を守ろうとし、反射的に咬んでしまうようになる場合もあります。
また、昔のしつけ方法で服従ポーズ(お腹を出させる)を取らせたり、マズル(口元)をギュッと握ったりする方法もありましたが、あまりオススメできません。
母犬や先輩犬が叱る時に自然にやる行為と言われていますが、人間である飼い主さんが犬のように上手なタイミング且つ犬に伝わるやり方で出来ない可能性の方が高いからです。
わけもわからず屈辱的なことを強制されていると、繰り返しになりますが犬と飼い主さんの信頼関係が崩れます。
もっと昔のしつけ方法で、「鞭で打つ」「首輪につけたリードを引っ張りあげる」などは更に絶対NGです。
トイレのミスは叱らない
トイレの場所を間違えたから叱ったという場合、
飼い主さんは「場所が違う」と言いたいのに、犬は「トイレをしちゃいけない」と勘違いする場合があります。
実際にトイレのミスを叱られすぎて膀胱炎になってしまった子もいました。
また、飼い主さんがいない時だけトイレをするようになったり、叱られないように隠そうとして食糞するクセがつくなど悪い事例が多いことも事実です。
トイレをミスした時は黙って片付け、ちゃんとできた時に褒めてあげてください。
追い詰めすぎない
叱りすぎて犬を追い詰めてしまわないよう注意しましょう。
犬は叱られた時は暗い表情をしますが、しばらくするといつもの表情に戻ります。
もし愛犬が叱られていない時も暗い表情だったり明るい表情が少なければ、叱りすぎていないか見直してみましょう。
ダブルバインドはしない
ダブルバインドとは人間の心理学の用語で、日本語に直訳すると「二重拘束」という意味になります。
矛盾した二つの命令をすることで、相手の精神にストレスがかかるコミュニケーションの状態を意味します。
犬の場合は例えると
・「オイデ」と呼んだのにすぐに来ない時、「オイデ」「オイデ!」「オイデ!!(怒)」と怒りを表すような場合です。
犬の目線で考えると「オイデ」という指示と「怒り」を表現する飼い主さん、「行けばいいのか」「行ったら叱られてしまうのか」という二つの状況に混乱します。
こんな状況が毎日繰り返されていれば大きなストレスとなります。
他にも
・「遊んでいいよ~」とオモチャをくれたのに、夢中になって遊んでいたら「こんなにボロボロにして!」と叱られた
・「トイレしなさい」と言われてトイレをしたら、「シーツから外しちゃダメでしょ!」と叱られた
など、意外とやっているかもしれません。
一度犬目線でダブルバインドになっていないか確認してみてください。
一貫性を持ち、家族で共有する
「犬のしつけの基本と大事な4つのポイント!」の回でも書きましたが、飼い主さん自身や家族の中でダメなことがバラバラだと犬が混乱します。
「NGリスト」を作って家族で共有しましょう。
まとめ
ドッグトレーナーさんの中には「叱らずにしつけをしよう」と提唱する人もいますが、叱らずにしつけるのにはかなり根気と知識が必要になってくると個人的には思います。
実際に私もほとんど叱らずにしつけた子がいましたが、その子の元々の気質としつけのスキルがあったからだと感じています。
「叱らずにしつける」という方針もアリだと思っていますが、多くの飼い主さん、特に若いヤンチャな犬を飼っている方は「叱らないなんて無理」とおっしゃるのではないでしょうか。
叱ることは悪いことではありません。
日々多くの場面で褒め、時に叱り、愛犬に人間との生活のルールを教えてあげてください。